家内労働法のあらまし

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家内労働法とは

 「家内労働法」は、昭和45年10月に、「家内労働者」の労働条件の向上と、その生活の安定を図ることを目的として作られたものです。
 このような目的をもった家内労働法は、家内労働者の労働条件の向上を図るために、もっとも基本的で緊急なことがらについて定めており、主な内容は、「家内労働手帳制度」、「最低工賃制度」、「安全衛生の措置」などで、主として、家内労働者に仕事を委託する「委託者」に、いろいろな義務を課しています。
 この法律で定める家内労働者の労働条件の基準は、最低のことを決めたものですから、委託者も家内労働者も、この基準より労働条件を低下させてはならないことはもちろん、これよりもさらに向上させるように努めなければならないことになっております。

家内労働法の用語の定義

この法律では、「家内労働者」及び「委託者」を次のように定めています。

家内労働法に決められていること

 

  • 家内労働者

次の5つの要件をすべて備えたものをいいます。

  1.  製造・加工業者や販売業者(問屋など)又はこれらの請負業者(いわゆるブローカーや請負的仲介人を含みます。)から委託を受けること。
  •  近所の一般家庭からセーター編みや洋服の仕立てを頼まれた場合は、家内労働者ではありません。
  1.  物品の提供をうけ、その物品を部品・付属品又は原材料とする物品の製造、加工等に従事すること。
  •  物品の販売などのセールスマン、運送などの仕事をする者は家内労働者ではありません。
  1.  業者の業務の目的物である物品を対象として製造加工などを行うこと。
  2.  主として、労働の対償を得るために働くものであること。
  • 大規模な機械設備を設置して、企業的に仕事を行う場合は家内労働者ではありません。
  1.  自己ひとりで、又は同居の家族とともに仕事をし、常態として他人を使用しないこと。

 

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  • 委託者

次の4つの要件をすべて備えたものをいいます。

  1.  製造・加工業者や販売業者(問屋など)又はこれらの請負業者(いわゆるブローカーや請負的仲介人を含みます。)であること。(運送業者や建築業者は委託者ではありません。)
  2.  その業務の目的物である物品について、仕事を委託すること
  •  例えば電気メーカーが、テレビやラジオのコイルの組立てを委託するときは委託者になりますが、創立記念日に社員に配るメダルの加工を委託するときは委託者とはなりません。
  1.  仕事を委託するときに、原則として、原材料などの物品を提供して、その物品を部品や付属品としたり、又は原材料とする物品の製造、加工等を頼むこと。
  2.  家内労働者に直接仕事を委託すること。
  •  直接家内労働者に委託しないで、委託者に委託する場合や、下請企業に委託する場合には、委託者ではありません。

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  • 家内労働手帳

 委託者が家内労働者に仕事を委託するときには、あらかじめ工賃などの委託条件をはっきりさせておかないと、よけいな紛争などが起こることがあります。
 このようなことがないように、この法律では、「家内労働手帳」制度を定めています。
 委託者は、家内労働者に仕事を頼むときには、原材料を支給するときまでに家内労働手帳を交付し、その手帳に委託条件、納入させる物品の数量、工賃の単価、受領した物品の数量、支払工賃総額など定められた事項を記入しなければなりません。
 家内労働手帳は、様式が定められていますが、必要な事項さえ具備していれば、定められた様式以外のものでもさしつかえありません。

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  • 就業時間

 家内労働者は、だれからもその就業時間を管理されることがなく、いつでも自由に就業することができますが、際限なしに長時間就業すると健康を害したり、過当競争の弊害をまねいたりします。
 このようなことがないように、委託者は家内労働者や補助者が長時間の就業をしなければならないような委託をしないように努めなければなりません。
 また、家内労働者は、そのような委託をうけないように努めなければなりません。
 都道府県労働基準局長は、必要があるときは、審議会の意見を聞いて、家内労働者が業務に従事する時間の適正化を図るために、必要な措置をとることを委託者及び家内労働者に勧告できることになっています。

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  • 委託の打切り

 家内労働者は、工賃で生活したり、工賃を生活の補助にあてたりしていますので、突然その仕事を打切られると大きな影響を受けることになります。
 従って委託者は、同じ家内労働者に継続して6ヵ月以上委託している場合に、業務の都合などによって委託を打切ろうとするときには、その家内労働者に直ちにそのことを予告するように努めなければなりません。

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  • 工賃の支払い

 工賃の支払いが遅れたり、全然支払われなかったりすると、家内労働者は生活に困ることになりますので、このようなことがないようにこの法律では、委託者の工賃の支払いについて、次のとおり定めています。

  1.  工賃は原則として、通貨で、その全額を支払わなければなりません。
     しかし、委託者の営業所と家内労働者の作業場所とが遠く離れている場合などには、家内労働者の同意があれば、@郵便為替での支払い、A銀行など金融機関に対する預金や貯金口座への振込み、B郵便振替口座への払込みや振替などによる支払いでもよいことになっています。
  2.  工賃は原則として、納品された日から1ヵ月以内に支払わなければなりません。
     ただし、毎月一定の日を工賃締切日としている場合には、その工賃締切日までに受けとった物品の全部の工賃を、その締切日から1ヵ月以内に支払うことになります。

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  • 工賃や物品の受渡し場所

 委託者は、工賃の支払い、原材料や製品などの受渡しは、家内労働者から申し出のあったときや、特別の事情のあるとき以外は、家内労働者が実際に作業に従事する場所で、受渡しするように努めなければなりません。

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  • 最低工賃

 最低工賃とは、ある物品について、その一定の単位ごとに工賃の最低額を決めるものです。
 厚生労働大臣又は都道府県労働基準局長は、一定の地域内で一定の業務に従事する工賃の低い家内労働者の労働条件を改善するために必要があると認めるときは、審議会の意見を聞いて、家内労働者と委託者に適用される最低工賃を決定することができます。
 最低工賃が決まれば、委託者は、決められた最低工賃額以上の工賃を支払わなければなりません。また、委託者が最低工賃額に満たない工賃額を家内労働者ととり決めたとしても、そのとり決めは無効であり、やはり最低工賃額以上の工賃を支払わなければなりません。

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  • 安全衛生のための措置

 家内労働は、一般に家内労働者の自宅を作業場として行われ、その作業環境は、家内労働者みずからが管理しているので、そこから発生する危害については、すべて委託者の責任ということはできませんが、委託者が家内労働者に一定の機械器具又は原材料を譲り渡したり、提供したりする場合には、これらによる危害を防止するために、次のような措置を講じなければなりません。

  1.  プレス機械などについては、安全装置をとりつけること。
  2.  モーター、バフ盤などについては、覆いをとりつけること。
  3.  委託者は、危害防止のため「作業心得」などの書面を交付すること。
  4.  有機溶剤を含んだのりなどの有害物については、必要条件をみたした容器を使用すること。また、容器の見やすいところに有害物の名称や取扱い上の注意事項を書くこと。

 以上のほか、家内労働者の危害防止のため、委託者が心がけなければならないこととして、

  1.  18歳未満の者や女子が、鉛などの蒸気や粉じんを発散する場所で業務に従事しなければならないような委託をしないこと。
  2.  家内労働者が危害防止のためにする安全装置やその他の設備を設置するとき、又は健康診断をうける場合には、それに必要な援助を行うこと。

などがあります。
 また、家内労働者も危害を防止するために、次のような義務が課せられています。

  1.  一定の危険有害な業務に従事する場合には、必要な保護具を使用すること。
  2.  一定の機械器具又は原材料を自分で調達するときは、委託者と同じような措置を講じること。
  3.  委託者から危害防止のための「作業心得」などの書面を交付されたときは、作業場の見やすい場所に掲示し、その注意に従って作業すること。

 委託者や家内労働者がこのような措置をとらない場合には、都道府県労働基準局長や労働基準監督署長は、危害を防ぐために、委託者、家内労働者の双方に対して、委託や受託を禁止したり、機械・原材料などの使用停止を命じたりすることができます。

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  • 届出

 委託者は、次のような届を労働基準監督署に提出しなければなりません。

  1. 委託状況届

     委託者は、家内労働法にいう委託者になった場合、又はそれ以降は毎年4月30日までに、委託業務の内容や、家内労働者数などを記入した委託状況届を労働基準監督署に提出しなければなりません。

  2. 家内労働死傷病届

     家内労働者が仕事中に死亡したときや、業務のためにけがをしたり、病気になったりして4日以上仕事を休んだ場合には、委託者は家内労働死傷病届を、直ちに労働基準監督署に提出しなければなりません。

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  • 帳簿の備付け

 委託者は、家内労働者各人別に、家内労働者の氏名や工賃支払額など、必要な事項を記入した帳簿を作って、営業所に備えつけておかなければなりません。

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  • 申告

 家内労働者及び補助者は、委託者がこの法律又は、この法律に基づく命令に違反する事実がある場合には、都道府県労働基準局又は労働基準監督署に申告することができます。

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  • 罰則

 これまで説明した事項のうち、努力義務になっているもの以外は、それに違反すれば、すべて罰則の適用があります。
 また、委託者の代理人や使用人その他の従業者が違反行為をしたときは、本人が罰せられるだけでなく、委託者にも罰金刑が科せられます。

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