令和4年度市長施政方針

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更新日:2022年2月22日

はじめに

令和4年度の市政運営に臨む基本的な考え方と主要な施策について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症との闘いの日々も3年目を迎えようとしています。本市においては第5波までの経験を踏まえて、市内の医療機関は検査の充実やコロナ病床の拡充に力を注いでいただき、また、埼玉県、狭山保健所、狭山市医師会とはお互いに情報を連携して感染者を医療へとつなぐ態勢を整えました。
ワクチン接種についても予約から接種に至るまで県内トップレベルのスピードで実施することができ、対象者の約90%の方が2回目の接種を完了し、現在、3回目の接種についても予定を前倒して、接種を進めています。また、市民の皆様は基本的な感染症対策をこれまでもしっかりと続けてくれています。この感染症克服のために、本当に多くの皆様にご協力をいただいていることに心から感謝と御礼を申し上げます。
昨年末から第6波の兆しが顕著となり、本年1月初旬からは、予想を超えるペースで感染者が急激に増加しましたが、引き続き、関係機関と共に力を合わせて、市民の命と健康、そして日常を守るために私たちは力を注いでまいります。
このパンデミックと向き合う2年間は多くの困難と危機に直面しましたが、同時に本市の持つ底力や多くの価値を再認識させられたことも確かであります。平成30年に制定した「協働によるまちづくり条例」の目的どおり、市民が日ごろの絆を大切に、そして心豊かにお互いを支え合うことができた、他に類のない素晴らしい取組みにもつながりました。
昨年5月、ワクチン接種の予約は全国の自治体でも困難を極めましたが、本市においては自治会館など市内63か所に職員が出向き、大きな混乱もなくスムーズに予約を受け付けることができました。この時の真の立役者はまさに、自治会、民生委員など地域の実情を熟知している市民の皆様でありました。また、ワクチン接種を行うにあたっても、ワクチンを準備する薬剤師、接種を行う医師や看護師、集団接種にご協力いただいた歯科医師等、それぞれが持つ力を大きな目的のために、連携、協働して取り組むことができました。この得難い貴重な経験は、今後も本市の未来に息づいていくはずです。
危機に際して、底力を発揮したのは市職員も同様です。この2年間、国や県から示される数々の施策はいずれも緊急的な対応が求められました。市議会にもご理解をいただき、困難に直面する多くの市民の不安を取り除くために、経験のない事務事業を正確かつ、何よりスピードを重視して、対応することができました。
東京2020オリンピック競技大会においても聖火リレー、ゴルフ競技の開催会場市として、安全・安心な大会の成功に貢献することができました。このパンデミックという危機において、組織として、努力と知恵と団結力をもって、立ち向かうことができました。この間、多くの市民の皆様から感謝の言葉をいただきました。市民に寄り添い、共に乗り越えていくという市としての姿勢を明確に示すことができた結果だと有難く受け止めており、今後も市政運営のあるべき姿として受け継いでまいります。
本市は長年、人口減少に危機感を持ってまいりましたが、一昨年から15か月連続で人口の社会増が続きました。人口の社会増が一年以上継続したのは、昭和58年から60年にかけて以来、約35年ぶりの出来事であります。コロナ禍という要因があったにせよ、狭山市の持つ魅力を市内外の方にご理解いただくことができたものと受け止めております。
繰り返しますが、絆を大切に心豊かに支え合う市民の存在、いざという時に果敢に立ち向かう職員の力、そして、揺らぐことのない住みやすいまちとしての本市の力、これらは本市が今後も持続的な発展を遂げるために必要な力であり、可能性であります。こうした力や可能性を一つでも多く見出し、社会を前向きに、そして、時代に合わせてより良く変えていくことこそが私達の仕事であり、責任であります。
さて、令和4年度の予算案につきましては、一日も早い新型コロナウイルス感染症の克服を最優先に取り組み、同時にコロナ後の社会の変化を見据えて、本市が引き続き、持続可能なまちとして、市民の皆様の期待に応えることができるよう編成したところであります。
それでは、令和4年度に取り組む主な重点施策について、新型コロナウイルス対策、そして、第4次総合計画の後期基本計画で設定する4つの重点テーマに沿って、ご説明を申し上げます。

新型コロナウイルス対策

はじめに、新型コロナウイルス対策について申し上げます。新型コロナウイルスにつきましては、感染力の高い新たな変異株が出現するなど、いまだ予断を許さない状況にありますが、新たな治療法や経口薬の開発など、世界中の企業や大学などが日々研究を進めており、その収束に向けて、光が見えてきているのも事実であります。本市におきましては、3回目のワクチン接種を、令和3年12月から医療従事者に開始し、現在では国が示す早期接種の方針に従い、2回目の接種から6か月を経過した高齢者には本年2月末までに接種券を送付し、ワクチン接種を加速しております。
今後は、国の動向を注視しつつ、集団接種を行っていくなど、希望する方が一日も早く、接種を終えることができるよう医師会などの関係機関とも連携し、着実に進めてまいります。
また、昨年、県内でいち早く実施した自宅療養者への配食サービスやパルスオキシメーター等の貸与につきましては、引き続き実施するとともに、感染状況の変化に合わせて、柔軟かつ速やかに対応することができるよう関係機関との連携を強化し、支援を行ってまいります。

令和4年度重点施策

テーマ1 若い世代を増やす

少子高齢化の進行と人口減少は、地域の活力の低下につながり、市の将来に影響を及ぼすことが懸念されています。「テーマ1 若い世代を増やす」では、若い世代を呼び込むための主な施策について申し上げます。
昨年の本市の人口は社会増へと転じました。新たに転入してきた方の年齢層は40歳未満の若い世代が約7割以上を占めております。狭山市人口ビジョンにおける人口推計では、令和4年1月1日の人口を147,972人としておりましたが、ここ数年は想定した人口を上回る結果となっています。これまで行ってきた親元同居・近居支援補助制度、若い世代の住宅取得支援補助制度が、若い世代の転入促進と転出抑制の両面で成果をあげているものと考えております。今後もこれらの制度の利用を促進するとともに、他の施策とも連動して、社会増の傾向が継続するよう取り組んでまいります。
次に、子育て世帯への支援について申し上げます。こども医療費の窓口払いの無料化につきましては、これまで市内の指定医療機関に限られていましたが、令和4年度から県内の医療機関へと拡大し、利用者の負担の軽減と利便性の向上を図ってまいります。
また、妊娠期からの切れ目ない支援の一環として産婦健康診査を実施し、産後うつの早期発見と子育て世代の経済的負担の軽減を図ります。さらに、4か月未満の乳児のいる家庭へは、保健師などの専門職が全戸訪問し、産後ケアの強化を図ってまいります。
次に、仕事と子育ての両立支援につきましては、令和3年度に堀兼地区に誘致した民間認可保育所が本年4月に定員90人で開園する予定であり、水富地区の市営榎団地跡地においても、令和5年度の開園に向けて新たな認可保育所の整備を支援し、待機児童の解消に努めてまいります。
さらに、入曽地区における新たな子育て支援拠点施設等の整備につきましては、令和5年度の開所を目指し、施設整備に着手してまいります。
次に、ひとり親家庭等への支援につきましては、養育費の取り決めに関する公正証書の作成や家庭裁判所への調停申し立て等に関し、公証役場や家庭裁判所への同行を支援するとともに、公正証書の作成や保証契約を締結するための費用の一部を補助する制度を創設いたします。
次に、小学生、中学生及び高校生等を対象に実施している生活困窮者世帯の学習支援につきましては、令和4年度からひとり親家庭等を新たに対象に加え、制度を拡充し、引き続き実施してまいります。
また、小中学校就学援助につきましては、経済的理由によって学用品の購入や給食費の支払いなどに困窮している小中学校の保護者に対して引き続き支援してまいります。また、令和4年度は、自宅でのICTの活用を見据え、新たにオンライン通信費を支援してまいります。
次に、学童保育室につきましては、入間野小学童保育室を拡張することにより、定員を100人から125人に増員し、待機児童の解消を図るほか、入間川小学校特別許可地区廃止に伴い、下校時の児童の安全を確保するため、通学路に人員を配置するとともに、入室希望者の増加が見込まれる入間川小学童保育室への対応として、民営による学童保育室の開設を支援してまいります。
次に、学校教育の充実につきましては、小中学校においては、個に応じたきめ細やかな教育活動を推進し、引き続き基礎学力の向上を図るとともに、グローバル化に対応できる素地を養う英語教育と論理的思考力を育成するプログラミング教育の一層の推進を図ってまいります。
また、国が進める「GIGAスクール構想」につきましては、令和2年度に1人1台端末の整備が完了し、令和3年度には自宅での活用も可能となりました。オンライン上の一斉授業や一人一人の教育的ニーズや学習状況に応じ、感染症に負けずに「学びを止めない」よう活用を図ってまいります。令和4年度におきましては、感染症拡大による臨時休校においても学びの機会と質が保障されるよう、授業の動画配信に向けた準備を進め、オンラインによる双方向の授業に加え、優れた授業を映像資料として作成し、いつでもだれでも活用できるよう取り組んでまいります。
また、教育活動の支援につきましては、これまでも学校の要請に応える体制を強化してまいりました。令和4年度は、派遣非常勤講師1人の増員を行い、教育相談事業につきましても、適応指導教室の指導員を1人増員し、体制を強化してまいります。
また、国際理解教育の推進につきましては、小学校へ語学指導助手と英語活動支援員を、中学校には語学指導助手を配置し、児童生徒の英語への興味関心を高めており、令和4年度は語学指導助手(ALT)1人の増員を行い、英語を身近に感じる環境を充実させ、国際感覚の育成を図ってまいります。

次に、地域の力を学校運営に生かすための仕組みとして、コミュニティ・スクール制度の導入を推進しており、既に導入している11校に加え、新たに入間野中学校区の小中学校3校に同制度を導入します。
次に、特別支援学級の充実につきましては、障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組みを支援し、豊かな学校生活を送るために必要な介助員について、令和4年度は2人の増員を行い、小中学校に計34人を配置いたします。
次に、学校施設整備につきましては、老朽化が進んでいる入間川小学校の空調設備の更新工事の設計に着手してまいります。
また、小中学校のトイレ改修工事につきましては、山王中、入間野中、狭山台中及び柏原中の4校を実施し、これによって、すべての小中学校でのトイレ改修工事を完了いたします。今後も学校施設の計画的な改修に取り組み、快適で安全な教育環境を確保してまいります。

テーマ2 まちと産業に活力を

本市は2つの工業団地を有し、これまでも製造業を中心とした工業都市として発展してきました。現在は、多くの業種において事業の再構築が迫られています。「テーマ2 まちと産業に活力を」では、これからもますます重要になる産業の活性化と駅周辺の賑わい創出などの主な施策について申し上げます。
本市の最重要施策であります入曽駅周辺整備事業につきましては、昨年、入間小学校跡地の利活用事業における優先交渉権者が決定しました。商業施設の建設に向けて現在手続きを進めておりますが、入曽駅周辺のにぎわいの拠点として地域の活性化と地域住民の利便性が向上されるよう、今後も連携を図ってまいります。
さらに、令和4年度は、既存建物の移転や道路などの工事が進み、新たな街のかたちが目に見えてまいります。また、入曽駅橋上駅舎と東西自由通路の整備は、鉄道事業者と締結した協定に基づき、実施設計を行います。引き続き、入曽地域はもとより、市民の皆様の期待に応えるべく、令和6年度のまちびらきを目指し事業を推進してまいります。
次に、都市計画道路の整備につきましては、笹井柏原線は、令和3年度末で用地取得が完了する予定であり、令和5年3月の供用開始を目指し、道路改良工事を進めてまいります。
また、狭山市駅加佐志線につきましては、東京狭山線側からの延長約220メートルの区間についての道路築造工事を実施するとともに、排水経路の用地取得を進めてまいります。
次に、産業の振興につきましては、令和3年度は狭山工業団地拡張地区において3社、狭山工業団地や圏央道インター周辺に3社が立地し、この6社のうち既に3社が操業を開始しております。また、コロナ禍においても、本市への進出意欲は旺盛であり、令和3年度に約30件の立地についての相談を受けております。
こうしたことから、新たな産業基盤づくりとして、具体的な土地利用計画や整備手法等を検討するとともに、地元権利者の事業に対する合意形成を進めてまいります。
また、大手自動車企業が令和3年12月末をもって、57年に及ぶ、市内工場での4輪車生産の歴史に幕を下ろしました。これまで長年にわたる本市への貢献に心から感謝いたします。今後、数年間は部品の製造を続けていくとのことですが、本市としては、工場集約後も半世紀を超えるつながりを継承していくために、同企業とパートナーシップ協定を結び、今後も良好な関係を続けていこうと考えており、工場跡地の活用等についても、引き続き情報提供を求めてまいります。
また、中小企業への支援につきましては、狭山市ビジネスサポートセンター、通称Saya-Bizが大きな成果を挙げております。コロナ禍において幅広い業種に影響が及ぶ中、市内の中小企業者にとって、なくてはならない相談所として日々、支援に当たりました。また、支援を行った企業や団体の取組みがテレビや新聞等で報道される機会も増えており、令和3年度には、関東で同様のBizモデルを導入している木更津市、国立市とネットワークを構築いたしました。このネットワークを生かし、地域を超えて連携、強化が図られることから、さらなる中小企業の支援に繋げてまいります。
次に、農業の振興につきましては、昨年、本市の若い農業者達の取組みが、全国で高い評価を受けました。
今後は、農業経営の合理化・近代化を図ることを目的に、農業用機械導入への補助、畑地かんがい施設の更新の支援に加え、スマート農業の推進にも取り組んでまいります。ICT技術を活用することで、農作業の省力化や精密化、高品質生産を目指し、魅力ある産業としての農業の活性化を図ってまいります。
また、新規で就農を目指す方に対しましても、国の制度を積極的に周知するなど、就農に向けた支援を実施し、本市の農業の活性化に向けて取り組んでまいります。
次に、商業の振興につきましては、昨年、新狭山北口商店会が、中小企業庁の「はばたく商店街30選」に選ばれました。これは、県内では、初の快挙となります。令和元年度から埼玉県の「NEXT商店街プロジェクト事業」などを活用し、商店会の皆様、市内の大学にもご協力をいただき、産官学で取組みを続けてまいりました。商店街の活性化はもちろんのこと、地域の連携や新たな発展につながる取組みが評価されたことは、大変嬉しく思っております。
コロナ禍という厳しい社会経済状況を踏まえ、安全・安心に配慮したイベント等の開催を通じて、引き続き商店会の活性化を支援してまいります。

次に、観光の振興につきましては、本年のNHKの大河ドラマ「鎌倉殿(どの)の13人」には、本市にゆかりのある源義高(みなもとのよしたか)が登場します。この機を捉え、市民団体などと協働し、イベントを開催するなど、歴史を通じて本市の魅力を内外に積極的にPRしてまいります。
次に、文化財の保護につきましては、市指定文化財である今宿遺跡の経年による劣化が進行していることから、郷土の古代文化について、児童生徒を中心に様々な人が複合的に学べる体験学習の場として活用できるよう、寄附金を原資として再整備することとし、令和4年度は基本計画の策定と工事の設計を行ってまいります。
次に、水道事業につきましては、施設の計画的な更新や耐震化を進め、有収率の向上を図り、安定的な給水体制の確保と経営基盤の強化に努めてまいります。更に、新たな給水車を購入し、災害時の応急給水体制の強化を図ってまいります。
次に、下水道事業につきましては、引き続き、市街化調整区域第4期整備事業として、汚水管の整備を推進するとともに、雨水対策としては、入曽駅周辺整備事業と連携し、市街地における雨水管の整備を推進してまいります。さらに、老朽化した施設の機能を持続的に維持するため、計画的な更新や耐震化を進めてまいります。

テーマ3 楽しめる健康高齢社会を

「テーマ3 楽しめる健康高齢社会を」では、子どもから高齢者まで健康で元気に暮らせるための、主な施策について申し上げます。
長引くコロナ禍により、本市を取り巻く環境も大きく変化しております。福祉分野におきましては、複雑化するそれぞれの課題に対して、必要な支援を行うことができるよう、令和4年4月1日から、現在の2部制を改め、3部制へと組織改正を実施いたします。
具体的には、現在の「福祉こども部」及び「長寿健康部」の業務を整理し、新たに「こども支援部」を創設いたします。また、子どもに関する様々な相談に迅速に対応すべく、こども支援課に新たに家庭児童相談担当課長を配置し、子どもの貧困、虐待といった課題解決のための子ども支援体制の強化を図ってまいります。
また、保健・福祉部門の強化を目的とし、生活福祉、障害者福祉、高齢者福祉その他福祉政策全般を担う「福祉部」、市民の健康づくりや国民健康保険、介護保険などを担う「健康推進部」に再編いたします。
これに先立ち、行政サービスの向上と感染症の拡大防止、withコロナ・afterコロナの新しい働き方の実現を目的として、令和3年度に高層棟1階福祉フロアの改修工事を実施いたしました。福祉の総合窓口を設置し、相談等の一次受付から、それぞれの窓口へのご案内をスムーズにするため、案内表示を充実させたほか、プライバシーに配慮したレイアウトといたしました。市民の皆様に、安心してご利用いただけるものと考えております。
なお、コロナ禍において休館しておりました、ふれあい健康センターサピオ稲荷山や老人福祉センターの入浴施設につきましては、今後の感染状況にもよりますが、4月以降の開館に向けて準備してまいります。
次に、成人検診につきましては、市民の健康と命を守るための新たな施策として、乳がん・子宮がんの早期発見早期治療を促すため、乳がん検診は40歳から59歳、子宮がん検診は20歳から39歳の方でこの検診を初めて受ける方の自己負担額を無料といたします。
次に、障害者福祉につきましては、地域社会において手話や聴覚障害者への理解・支援の促進を図り、障害のある人もない人も、健康で安心して暮らせるまちづくりを目指し、手話言語条例の制定に取り組んでまいります。
次に、交通空白地域の解消に向けた、地域公共交通対策につきましては、既存の公共交通を補完する新たな地域公共交通として、本年10月から堀兼地区においてデマンドバスの実証運行を開始いたします。
また、市内の公共交通の適正化に資する地域公共交通計画の策定に取り組んでまいります。
次に、交通安全対策につきましては、本市は、令和3年1月1日から令和3年12月31日の交通死亡事故が0件であり、埼玉県より「令和3年度交通死亡事故ゼロ市町村表彰」を受けました。今後も引き続き、交通ルールやマナーなどの意識高揚を図るために、幅広い年齢層に対し、交通安全教育をより一層推進してまいります。
また、高齢運転者の交通事故防止を図るため、運転免許証の自主返納を促進するとともに、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を防ぐ安全装置の購入等費用の助成を、引き続き実施してまいります。

次に、生涯スポーツの推進につきましては、本年5月、武道の振興及び武道教育の拠点として、冷暖房設備を完備し、災害時には避難所としても活用できる新たな武道館のオープンを予定しており、本市のさらなる武道の振興に寄与する施設となることを期待しております。
また、東京2020パラリンピック競技大会を契機として、これまでパラリンピアンによる特別授業「あすチャレ!スクール」を実施してまいりました。この取組みは東京2020大会のレガシーとして、令和4年度以降も継続し、令和6年度に開催されるパリ大会まで、市内公立全小中学校で継続的に実施いたします。
次に、生涯学習の推進につきましては、公民館では、人生100年時代と言われる社会の中で、ICTは、家族や友人とのコミュニケーションや、災害時には確かな情報を収集する上で有効なツールとなることから、デジタルデバイドの解消も目的に、ICTを活用した学習機会の提供に取り組むほか、人権・平和・防災、環境問題などに関わる現代的課題やまちづくりなどに関わる地域課題等をテーマとした様々な事業を積極的・計画的に実施してまいります。
また、コロナ禍において、大きな影響を受けてきた生涯学習活動につきましては、感染拡大防止対策をとったうえで、「学びたい」という市民のニーズに応えていくことができるよう、様々な情報媒体を活用しながら生涯学習に関する情報を発信していくとともに、学びの機会や場の充実に取り組んでまいります。
また、子どもの読書活動推進に向けて「第3次狭山市子ども読書活動推進計画」を策定し、本市すべての子どもが自ら進んで読書に親しみ、生涯の読書活動を豊かなものにすることを目指してまいります。
また、博物館では、子どもから大人まで楽しめるよう様々なテーマを取り上げた企画展示を行うほか、郷土の歴史を学ぶことができる動画を配信し、市民からも好評をいただいていることから、今後も、市民が楽しめるような学びの情報を積極的に提供してまいります。

テーマ4 市政運営をみんなの力で

「テーマ4 市政運営をみんなの力で」では、行政はもちろん、市民、団体、事業者など市内外を問わずに幅広く力を結集し、本市を次世代に誇れるまちへと進化させるための主な施策について申し上げます。
令和4年度から大規模な組織改正を行います。保健・福祉部門に新たにこども支援部を創設するとともに、危機管理部門の位置づけを明確化し、災害等への指揮命令系統の充実を図ります。さらに、公共施設管理の一元化、複数の所属にわたる関連業務の統合及び再編を行うことで、行政運営の効率的かつ効果的な推進を目指します。
コロナ禍を契機として、業務やサービスの形態を「新しい生活様式」に対応させる必要性が強く求められております。国においてはデジタル庁が創設され、業務の効率化のみならず、人に優しいデジタル化を目指しており、本市におきましても、本年1月、「狭山市DX基本方針」を定めたところであります。今後は、本方針に基づき、積極的に推進してまいります。
デジタル社会の基盤として重要なものの1つとしては、マイナンバーカードの普及があります。国のマイナポイント制度の周知に努めるなど、1人でも多くの市民にスムーズに交付できるよう、取り組んでまいります。「いつでも・だれでも・どこでも」をキーワードに行政手続きが可能となる、マイナンバーカードを利用した行政手続きのオンライン化を推進してまいります。
また、税金や手数料のキャッシュレス決済についても拡充してまいります。具体的には市税等の支払に際し、スマートフォンによる決済方法の選択肢を増やし、納付しやすい環境を整備いたします。
さらに、非接触型で自動集計機能を備えたPOS(ポス)レジスターを市民課窓口に導入いたします。これにより手数料の支払の際に現金以外の取扱いも可能となり、利用者の利便性の向上と新型コロナウイルスの感染リスクを低減するとともに、事務の効率化を図ります。
行政事務の分野では、将来予想される業務量の増加への対応や、業務を効率化するため、RPAやAIを搭載したシステムを活用拡充するとともに、オンライン会議やテレワーク等を推進するため、セキュリティの強靭化を図ってまいります。
また、令和3年度に紙使用量の20%削減を目標としたペーパーレス化につきましては、この目標を達成する見込みであり、令和4年度においても、文書の電子化を推進し、さらなるペーパーレス化に取り組んでまいります。
次に、市庁舎における防犯対策につきましては、迷惑行為や不正行為の抑制等の観点から、各階に防犯カメラを新たに設置し、安全管理の強化を図ってまいります。
次に、ふるさと納税の推進につきましては、自主財源の確保の面から、より多くの方から、本市を応援していただけるよう、ふるさと納税申込サイトを拡充し、寄附金の受け入れ拡大を図ってまいります。
次に、民間活力の導入につきましては、入間川・柏原学校給食センターのPFI事業が令和5年度末で終了することから、今後の事業手法について検討を開始してまいります。
次に、自然災害等に対する備えにつきましては、令和3年度中に策定する「狭山市地域強靭化計画」に基づき、国の補助金等を有効に活用し、事前防災・減災及び迅速な復旧・復興が可能なまちづくりを進めてまいります。
次に、消防団員の処遇の改善につきましては、年額報酬の見直しを実施するとともに、出動手当を見直し、出動に応じた報酬制度を創設いたします。これにより、消防団員の士気高揚と、地域防災における消防力の充実強化を図ってまいります。
次に、公共施設等の再編につきましては、公共施設再編計画に基づき、令和5年度に入曽地区子育て支援拠点施設に機能移転を予定している水野保育所の除却の準備を進めます。
また、公共施設の管理につきましては、公共建築物点検マニュアルに沿った統一的な視点で点検を行うとともに、新しく設置する公共施設管理課等が一元的に管理を行い、計画の推進に努めてまいります。

次に、環境保全と脱炭素社会の実現に向けた取り組みにつきましては、昨年11月のCOP26において、温室効果ガスの排出削減に関する対応策と、気候変動に適応して地域社会と生態系を保護すること、この2つの目標を実現するための先進国の責務、条約締結国、企業、市民の行動の加速化について、一定の合意がなされました。
本市におきましては、令和4年度からスタートする第3次狭山市環境基本計画に基づき、次世代を担う子どもたちの為にも、豊かな地球環境を引き継いでいけるよう、着実に取り組んでまいります。
特に、再生可能エネルギーの普及拡大につきましては、太陽光パネルの普及拡大を一層促進するため、予算規模を増額し、さらに、一般家庭に限定していた設置に対する補助を事業者へと対象を拡大いたします。また、公共施設などへの太陽光パネル設置についても民間事業者と連携し、調査を行ってまいります。
次に、一般廃棄物の処理につきましては、令和4年度が初年度となる「狭山市一般廃棄物処理基本計画」に基づき、ごみの減量化とリサイクルを推進し、特に、古紙、プラスチックなどの分別排出による資源化や食品ロスの削減など、多くの機会を捉えて周知、啓発を行い、燃やすごみの減量化を図ってまいります。
次に、埼玉県西部地域まちづくり協議会につきましては、引き続き、圏域の特性や資源を生かした魅力と活力のある持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

令和4年度予算概要

以上申し上げました主要な施策を盛り込んで編成いたしました令和4年度予算案について、その概要を申し上げます。
歳入予算につきましては、歳入の根幹をなす市税は、コロナ禍による影響が懸念されながらも堅調に推移した令和3年度の市民税の状況や国の地方税見込額を参考に、前年より増額の見込みとしたほか、地方譲与税及び利子割交付金などの各種交付金や地方交付税につきましては、令和2年度決算や令和3年度の交付見込みなどを勘案して計上したものであります。
国庫支出金につきましては、新型コロナウイルスワクチン接種事業に関する補助金の増などを見込んだことにより、また、県支出金につきましては、令和4年度に実施が見込まれる参議院議員選挙委託金の皆増などにより、それぞれ前年度より増額となったものであります。
市債につきましては、入曽駅周辺整備事業債の減などにより、前年度より減額し、また、後年度の負担も勘案しつつ、財政調整基金をはじめ、各目的基金からの繰入れを行い、財源を確保したものであります。
歳出予算につきましては、新型コロナウイルス対策として実施する3回目のワクチン接種事業をはじめ、市民の生命を守るために必要な事業に予算を配分するとともに、第4次狭山市総合計画後期基本計画の4つの重点テーマを中心に事業の選択と集中を図り、予算を編成したものであります。
この結果、一般会計の予算額は、前年度対比2.0%増の482億2,000万円となりました。また、特別会計全体の予算額は、前年度対比2.4%増の300億8,157万3千円となりました。さらに、公営企業会計の予算額は、前年度対比1.5%増の94億6,891万6千円となり、すべての会計の予算総額は、前年度対比2.1%増の877億7,048万9千円となったものであります。

むすびに

人類と感染症との歴史は非常に長く、人類の誕生とともに感染症との闘いの歴史が始まったといっても過言ではありません。昨年の大河ドラマでは、埼玉ゆかりの偉人である渋沢栄一の人生に光が当てられました。エネルギッシュに時代を切り開いていくその姿に多くの人が共感し、勇気を得たのではないでしょうか。
「日本資本主義の父」と称された渋沢の歩みを振り返る時、彼の人生にも感染症との闘いがあったことがわかります。結婚をし、商人として、まさに人生をスタートさせようとしていた1858年、日本全土をコレラによる感染症のパンデミックが襲いました。その後、向学心に燃えて、多くの志士たちと交流を深めていた時、そして、徳川家に仕え、パリ万博の使節団の一員としてヨーロッパに派遣された時、いずれもコレラが大流行の最中のことでした。更に数年おきにコレラによるパンデミックは続き、1882年には大切な家族をこの感染症によって亡くすこととなります。
このような時代に、渋沢は現代に通じる経済や社会制度の基盤づくりに生涯を捧げるとともに、困窮者や社会から取り残された大勢の人々を救う活動に力を注ぎました。また、多くの企業家たちと事業を通じて、社会の課題解決に挑み続けた功績は、今なお、輝きを放っています。
時代がいかに変わろうとも、私たちが進むべき道も同じです。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって顕在化した課題、将来を見据えて取り組まなければならない課題に対して、今こそ力強く立ち向かっていく必要があります。
令和4年度が名実ともに新型コロナウイルス感染症を乗り越えて、今一度、社会全体が前向きに、より豊かになるよう、全力で取り組むことを申し上げて、施政方針とさせていただきます。

このページに関するお問い合わせは
企画財政部 財政課

狭山市入間川1丁目23番5号

電話:04-2935-6633

FAX:04-2954-6262

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