狭山市防災基本条例(案)
前文
日本各地において、地震による甚大な被害に加え、これまでに経験したことの無いような大雨による甚大な被害に見舞われることが多くなってきております。
一方、災害への対応については、阪神淡路大震災以降、行政の対応だけでは限界があり、自助、共助による災害対応が欠かせないといわれており、その後発生した、東日本大震災、熊本地震においても、行政自体が被災し、災害発生直後において公助が十分機能しない状況もあり、自助、共助は、災害対応において重要であることが、改めて認識されたところであります。
こうしたことから、本市においても、行政主導の防災の取り組みだけではなく、市民等が「自らの命は自らが守る」意識を持って自らの判断で避難行動をとり、行政はそれを全力で支援するという、自助、共助、公助の役割を念頭に地域防災の充実及び強化を進めていく必要があることから、それぞれの責務及び役割を明確にし、相互に連携し、協力して防災対策に取り組むために、本条例を制定します。
目的
この条例は、市民等の生命、身体及び財産を災害から守るため、市民、事業者及び市の防災における責務及び役割を明らかにするなかで、災害の予防対策、災害が発生した際の応急対策並びに復旧及び復興の対策に関する基本的な事項を定めることにより、防災対策を総合的かつ計画的に推進し、もって、地域防災の充実及び強化を図ることを目的とする。
定義
次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)災害 地震、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ等、災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第2条第1号に定める災害をいう。
(2)防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧・復興を図ることをいう。
(3)市民 市の区域内(以下「市内」という。)に居住する者をいう。
(4)事業者 市内で事業を営む法人その他の団体及び個人をいう。
(5)自主防災組織 共助の精神に基づき、災害による被害を予防し、軽減することを目的に、自治会等を単位として自主的に結成された組織をいう。
(6)防災関係機関 埼玉県警察、埼玉西部消防組合その他防災対策を実施する埼玉県の関係機関及び法第2条第3号から第6号までに規定する関係機関をいう。
(7)要配慮者 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者をいう。
基本理念
1市民、事業者及び市は、自らの命は自ら守る「自助」、近所や地域でお互いに力を合わせて助け合う「共助」、行政が主体となって行う「公助」の考え方に基づき、それぞれの責務と役割を果たし、相互に連携し、協力して防災対策に取り組まなければならない。
2市民、事業者及び市は、本市の地域特性及び社会情勢を踏まえ、要配慮者をはじめとした多様な主体の視点を反映するとともに、災害による被害を最小化する減災の考え方を基本とし防災対策に取り組まなければならない。
3市民、事業者及び市は、防災に関する知識を習得し、災害から命を守る行動力を高め、助け合いの精神を育むことにより、災害時に備えるとともに、後世に時代の変化に合わせたかたちでこれらを継承していかなければならない。
地域防災計画への反映
狭山市防災会議(法第16条及び狭山市防災会議条例(昭和29年条例第21号)に定める、狭山市地域防災計画の作成及びその実施を推進すること等を所掌事務とする組織をいう。)は、この条例の基本理念を狭山市地域防災計画に反映させなければならない。
防災対策に関する責務
1市民の責務
(1)市民は、自己及び家族の安全を確保するため、自ら災害に備えるよう努めるものとする。
(2)市民は、相互に協力して防災対策に取り組むことができるよう、地域住民の良好な関係の形成に努めるものとする。
(3)市民は、市、防災関係機関等が実施する防災対策に協力するとともに、地域において実施される、自主防災組織、事業者、学校等による防災対策についても協力するものとする。
2事業者の責務
(1)事業者は、従業員、事業所への来所者及び周辺地域の住民の安全を確保し、生命を守るため、施設及び設備の安全管理に努めるものとする。
(2)事業者は、災害による交通機関の停止により、帰宅が困難になった者への対策及びその内容の従業員への周知に努めるものとする。
(3)事業者は、従業員が防災に関する知識及び技術を習得する機会の提供に努めるものとする。
(4)事業者は、事業活動を継続又は再開できる体制の整備に努めるものとする。
(5)事業者は、市、防災関係機関等が実施する防災対策に協力するとともに、地域において実施される、自主防災組織、学校等による防災対策についても協力するものとする。
3市の責務
(1)市は、防災に関する普及啓発活動を推進するものとする。
(2)市は、防災対策を円滑に実施するために必要な各種データの整備保全及びバックアップ体制の整備を推進するものとする。
(3)市は、防災対策を円滑に実施するために必要な各種体制の整備及び強化を図るものとする。
(4)市は、市民、自主防災組織、事業者、学校、防災関係機関等と連携した防災対策を推進するものとする。
防災に関する知識の習得等
1市民及び事業者は、防災に関する学習及び訓練を積極的かつ継続的に行うよう努めるものとする。
2市は、防災に関する教育及び防災訓練を充実させていくものとする。
3市は、地域の防災活動を支える防災リーダーとなる人材の育成に取り組むものとする。
4市は、災害発生時に迅速かつ的確に災害対応を実施できるよう、研修や訓練をとおして、市職員の防災に関する知識及び技術の習得に努め、防災意識の向上を図るものとする。
災害への備え
1市民は、災害に備えるために、次に掲げる事項に取り組むよう努めるものとする。
(1)家族等の安否確認手段の取決め
(2)災害情報の入手手段の確保
(3)避難場所、避難経路及び避難方法の確認
(4)3日分以上の食料及び飲料の確保
(5)非常持出品の準備
(6)家具等の転倒防止及び落下防止の対策
(7)自宅の耐震性の確保
(8)その他災害に必要な備え
2事業者は、災害に備えるために、次に掲げる事項に取り組むよう努めるものとする。
(1)従業員の安否確認手段の確保
(2)災害情報の入手手段の確保
(3)避難場所、避難経路及び避難方法の確認
(4)3日分以上の食料及び飲料の確保
(5)事務用設備等の転倒防止及び落下防止の対策
(6)施設等の耐震性の確保
(7)その他災害に必要な備え
3市は、災害に備えるために、次に掲げる事項に取り組むものとする。
(1)情報収集体制及び伝達体制の整備及び充実
(2)備蓄体制の充実及び強化
(3)応援受入体制の整備
(4)公共施設の耐震化
(5)その他災害に必要な備え
自主防災組織の結成及び充実
1市民は、共助の精神に基づき、災害による被害を予防し、軽減するための活動を行うことを目的に、自主防災組織の結成及び充実に努めるものとする。
2市は、自主防災組織の結成及び充実のため、積極的な支援及び協力を行うものとする。
自主防災組織のネットワークづくり
自主防災組織は、平常時からつながりを持ち、それぞれの有する防災に関する知識や経験等を共有するとともに、平常時及び災害時において、相互に連携し、効果的な活動を行うことができるよう、組織のネットワークづくりに取り組むこととし、市は、その支援をするものとする。
防災のための地域の連携
1自治会及び自主防災組織並びに事業者、学校等は、災害時の応急対応において相互に連携できるよう、平常時からつながりを持つことに取り組むこととし、市は、その支援をするものとする。
2自治会及び自主防災組織並びに事業者、学校等は、地域防災力の更なる向上を目指し、各地区の特性に応じた防災活動を定めるための防災計画の作成に取り組むこととし、市は、その支援をするものとする。
災害応急対策
1市民及び事業者は、災害時において、生命、身体及び財産を守るため相互に連携し、次に掲げる事項に取り組むものとする。
(1)災害時の正しい情報の収集、共有及び発信
(2)出火防止及び初期消火活動
(3)負傷者の救出、救護及び搬送
(4)近隣住民の避難支援
(5)市と連携した避難所運営
(6)市と連携した炊き出し等の給食及び給水の活動
(7)その他必要な応急対策
2市は、災害時において、市民、自主防災組織、事業者、学校、防災関係機関等と連携した応急対策に取り組むものとする。
要配慮者支援
1市民は、平常時から地域の要配慮者を把握するとともに、顔の見える関係を築くことに努め、災害時においては、避難することが困難で特に支援を要する要配慮者の支援に努めるものとする。
2事業者は、前項に規定する支援に協力するよう努めるものとする。
3市は、災害時において、要配慮者の支援を迅速かつ的確に行うため、平常時から支援体制の整備を進めるものとする。
4市は、地域における連携や協力を促し、自助、共助、公助の役割に基づく、要配慮者の支援対策を行うものとする。
復旧及び復興の対策
1市民は、相互に協力し、速やかに自らの生活の再建を図るとともに、市が取り組む復旧及び復興の対策に協力するよう努めるものとする。
2事業者は、市民生活の安定化に資するため、事業の継続又は速やかな再開に努めるとともに、市が取り組む復旧及び復興の対策に協力するよう努めるものとする。
3市は、市民生活の再建並びに事業者の事業の継続及び速やかな再開が行われるよう、市民、自主防災組織、事業者、学校、防災関係機関、ボランティア等と連携し、計画的に復旧及び復興の対策に取り組むものとする。
他の地方公共団体への支援
1市は、他の地方公共団体において大規模な災害が発生した場合において、支援が必要と認めるときは、被災した地方公共団体に必要な支援を行うものとする。
2市民及び事業者は、前項に規定する支援に協力するよう努めるものとする。
このページに関するお問い合わせは
危機管理課
狭山市入間川1丁目23番5号
電話:04-2968-6527
FAX:04-2954-6262
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