令和8年狭山市二十歳の集いにおける、市長式辞を掲載しています。
市長式辞
本日、ここに令和8年狭山市二十歳の集いを挙行するにあたり、式辞を申し上げます。
二十歳を迎えられた皆さん、本日は誠におめでとうございます。そして、今日まで愛情をこめて育ててこられましたご両親をはじめ、ご家族の皆様、そして熱心にご指導くださいました諸先生方に対しましても、お慶びを申し上げます。
実は本日、私の息子もこの会場におります。今日という日は私にとっても、皆さんにとっても、皆さんのご家族にとっても、とても大切な一日です。大げさに申し上げれば、人類が誕生したのは約700万年前とされています。今日に至るまで、子供を産み、育てるという命のリレーをずっと続けてきました。いつの時代も自分の子供が誕生し、大きく育ち巣立っていくという日は何とも感慨深いものであります。
私は仕事柄、こうして大勢の皆さんの前で話をする機会があります。一方で、それ以上に多くの人から話を聞く機会があります。昨年、とある式典に参加した際に非常に考えさせられた言葉、問いかけをされました。今日は皆さんの門出に際し、その話をしたいと思います。
まず、皆さんに教えてもらいたいことがあります。皆さんにとって、人生で、この20年の人生の中で最も重要な日を2つ挙げるとするなら、それは一体いつでしょうか。実はこの問いかけは私たち世代が子供の頃よくテレビで見ていたアニメ「トム・ソーヤの冒険」の作者である、マーク・トゥエインによるものであります。彼の答えはこのようなものでした。
「人生で最も重要な日、それは生まれた日と、生まれた理由を見出した日だ」
この問いかけは私の胸にドーンときました。そして、ふと考えるとこの問いかけは私たちが、そして皆さんたちもずいぶん前から自然と歌っていたことを思い出しました。
「なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのは いやだ!」
空を飛んで、空腹で困っている人に自分の顔を食べさせるという、ヒーローの物語。この物語を描いた作者は1919年に生まれ、20代は戦争という悲劇に翻弄されました。自分も戦争に従軍すると同時にその中で大切な兄弟を失いました。そして、戦後はこの厳しい体験から「本当の正義とは一体何か、なんのために生まれてなにをして生きるのか」を生涯考え続けることになります。彼がたどり着いた答え、それが、アンパンマンでした。
しかし、上手くいきません。当初、この物語は「二度とこんな本は書かないで欲しい」「子供には不適切」などと、今では考えられない辛らつなものばかりだったそうです。ようやく国民的なヒーローとなったのは、テレビでアニメ化された1988年の時、作者は既に69歳となっていました。作者であるやなせたかしさんとアンパンマンが私たちに問いかけ続けた「なんのため」とは一体何か。やなせさんの言葉を借りれば、それは「人は誰かの役に立つことで、幸せになれる」という大切な真理だったのかもしれません。
アンパンマンと同じく、空を飛ぶと言えば、日本には多くの航空会社があります。その中の一つ、飛行機の色が非常に派手な格安航空会社の話です。この会社が作られた理由、生まれた理由とは一体何か。よく言われるのは、「安いことが売り」、大手の航空会社に比べて安いということが目的と捉えられますが、果たしてどうでしょうか。
この会社が生まれた理由、それは「世界平和を成し遂げたい、世界から戦争を無くしたい」、そしてそのために自分たちがアジアの懸け橋になりたいということだと教えてもらいました。
皆さんも知ってのとおり、今から約80年前の一時期、日本はアジアの国々との間でたいへん不幸な出来事がありました。こうした悲劇を無くすために、海外に多くの友人がいるようにしたい。そのためには、若い時からどんどん外国に出て、いろんな文化に触れて、たくさんの人と知り合う機会がある。特に、まだお金を多く持っていない若者たちこそが、飛行機に乗れて、色んな国に行ける、そういう航空会社が必要だ、というのです。そして、ピーチという名のこの航空会社は今、その大きな志を果たすべく、アジアの国々に向けて、今日も多くの若者たちを乗せて飛行機を飛ばし続けています。
このようによく調べてみると、私たちが当たり前として受け止めている人にも企業にも組織にも、そしてキャラクターにも、そこには計り知れない大きな夢や志があることがわかります。それこそが、「生まれた理由」や「何のため」ということなのです。
冒頭申し上げた人生において最も重要な日というものは、年齢を重ねてくると、だんだんと増えていきます。私たちにとっては皆さんがこの世に誕生した日は間違いなく、特別な日でありました。そして、これからは皆さんが勉強や仕事をする中で、いつかきっと、生まれた理由を見出し、私たち、親に語ってくれる日というのは間違いなく、人生において最も重要な日となります。
今、社会が大きく変わっています。従って、皆さんには今までの考え方にとらわれず、もう一度、「何のため」や「生まれた理由」を問い続けてほしいと思います。何のために、勉強して、何のために、働いて、何のために、この時間を費やして生きていくのか。
もちろん、私自身の経験からも、すべてが完璧になんていくはずがありません。だから、完璧なんか目指さなくていいんです。そして、失敗するとかも関係ありません。一番大事なのは、とにかく、スタートすること。このことです。そして、もし、その中であこがれや劣等感を抱いたとするならば、それを前へと進む力に変えていけばいいのです。
最後に、何かしらの理由で父親や母親がいない方もいると思います。私自身もそうでした。この中にもいると思います。その時には、代わりに私が聞きますので、遠慮なく市役所を訪ねてほしいと思います。皆さんにとって最も重要な日を見出したことを心から祝福したいと思います。
結びに二十歳を迎えられた皆さんの前途が素晴らしいものであることを心からお祈りし、お祝いの言葉とさせていただきます。
2026年1月11日
狭山市長 小谷野 剛
このページに関するお問い合わせは
生涯学習部 社会教育課
狭山市入間川1丁目23番5号
電話:04-2946-8594
FAX:04-2954-8671
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