むかしむかしのおはなしです。堀兼の加佐志という所に、たいへんがんじょうな大男が住んでいました。
ある日大男は、川越のお大師さまへおまいりにでかけました。そして、ぶじおまいりをすませ、お不動さまのあたりをとおりかかった時のことです。町の若い衆がおおぜい集まって、なにやらワイワイさわいでいました。
大男は「はて、なにをやってんだべえ」とそばにあった大石に腰をかけ、いっぷくつけはじめました。町の人たちは、力石を持ちあげて自慢しあっていたのです。
ところが、大男がすわった大石は一番大きな力石でしたので、さあ大変。町の若い衆は、大男の前にきて言いました。「おめえは、なんで一番の力石にすわってんだ。腰をかけるんなら力に自信があんだんべえ。ならその石を持ちあげてみろい」とさわぎだしました。
その大石といったら五十貫(約二百キロ)ほどもありました。
大男は、ケロッとして「よしきた、でもおれがこの石をかついだらどうする」といいました。すると若い衆は「かつげたら、おめえにくれらあ。でもかつげなけりゃあ土下座してあやまれよ」といいました。
「ほんじゃまあ、どっこいしょ」と大男は、駒下駄をはいたままで、大石を目よりも高く持ちあげ「じゃあ、もらっていくよ」とみんなが、あっけにとられてポカーンとしている前をスタスタと帰って行きました。
この大男は、その後江戸の大ずもうで幕下までいった、仮名頭粂吉というおすもうさんになったそうです。また、仮名頭の力士名は『い』とも書いたそうです。これは、いろはの頭文字という意味です。
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