仮名頭粂吉

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更新日:2021年3月29日

画:仮名頭粂吉と力石

むかしむかしのおはなしです。堀兼(ほりがね)加佐志(かざし)という(ところ)に、たいへんがんじょうな大男(おおおとこ)()んでいました。
ある()大男(おおおとこ)は、川越(かわごえ)のお大師(だいし)さまへおまいりにでかけました。そして、ぶじおまいりをすませ、お不動(ふどう)さまのあたりをとおりかかった(とき)のことです。(まち)(わか)(しゅう)がおおぜい(あつ)まって、なにやらワイワイさわいでいました。
大男(おおおとこ)は「はて、なにをやってんだべえ」とそばにあった大石(おおいし)(こし)をかけ、いっぷくつけはじめました。(まち)(ひと)たちは、力石(ちからいし)()ちあげて自慢(じまん)しあっていたのです。
ところが、大男(おおおとこ)がすわった大石(おおいし)一番(いちばん)(おお)きな力石(ちからいし)でしたので、さあ大変(たいへん)(まち)(わか)(しゅう)は、大男(おおおとこ)(まえ)にきて()いました。「おめえは、なんで一番(いちばん)力石(ちからいし)にすわってんだ。(こし)をかけるんなら(ちから)自信(じしん)があんだんべえ。ならその(いし)()ちあげてみろい」とさわぎだしました。
その大石(おおいし)といったら五十貫(ごじゅっかん)約二百(やくにひゃっ)キロ)ほどもありました。
大男(おおおとこ)は、ケロッとして「よしきた、でもおれがこの(いし)をかついだらどうする」といいました。すると(わか)(しゅう)は「かつげたら、おめえにくれらあ。でもかつげなけりゃあ土下座(どげざ)してあやまれよ」といいました。
「ほんじゃまあ、どっこいしょ」と大男(おおおとこ)は、駒下駄(こまげた)をはいたままで、大石(おおいし)()よりも(たか)()ちあげ「じゃあ、もらっていくよ」とみんなが、あっけにとられてポカーンとしている(まえ)をスタスタと(かえ)って()きました。
この大男(おおおとこ)は、その()江戸(えど)(おお)ずもうで幕下(まくした)までいった、仮名頭(かながしら)粂吉(くめきち)というおすもうさんになったそうです。また、仮名頭(かながしら)力士名(りきしな)は『い』とも()いたそうです。これは、いろはの頭文字(かしらもじ)という意味(いみ)です。

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