下広瀬の県道・日高狭山線わきに、馬頭観世音の石碑が立っています。
むかしむかしのおはなしであります。石碑の前に一人の旅人が立ち止まり、しきりに感心しながら、石碑の文字に見入っていました。
やがて、旅人は石碑の前にどっかりとすわりこんで「うーむ、これはすばらしい。なんともはやみごとな文字じゃ。実にうまい」と何度もくり返してほめていました。
そこへ村の人たちが通りかかり、旅人が馬頭観世音の文字を見て、しきりに感心しているので、日ごろはあまり気にとめていなかったその文字をジッと見つめると「なーるほど、今まで気にもとめていなかったけんど、こりゃあなんとうめえ文字だ」
そして、あとからやってくる村の人も旅の人も、みんな立ち止まって「うむうむ、何度ながめてもこりゃあやっぱりいい文字だ」などと口々にいいながら、ながめ続けていました。
そうして、みんながああだ、こうだといって感心しているうちに、お天道さまはすっかり西に傾き、やがて一番星がチカチカと輝きはじめました。
それでも人々は、馬頭観世音の文字を見続け、感心し続けました。そして、とうとうお月さまが出るまで立ち去りませんでした。
文字がりっぱで、いくら見てもあきないこの馬頭観世音は、いつからか、だれいうとなく『ひぐらしの馬頭さん』と呼ばれるようになりました。
この評判はパッと広がり、いつでも二・三人の人たちが、長いあいだながめていたそうです。これは、この石碑の文字があまりにもみごとなできばえでしたので、こういう呼び名がついたのだそうです。
この石碑は、今は広瀬橋のたもとの近くに立っています。
ひぐらしの馬頭さん遠景
ひぐらしの馬頭さん
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