笹井の宗源寺には『ずいこうのケヤキ』というそれはそれは大きなケヤキがありました。
むかしむかし、まだこのケヤキが若く元気だったころのおはなしです。
ある日の夕方のこと、お寺のすぐそばに住んでいる農家の人が、お寺のうら道を通りかかりました。するとその時です。境内の方からなにかがなくような声で「ずいこうー・ずいこうー」という声が聞こえてきました。
お農家さんは「はて、いまじぶんなんの声だべえ」とふしぎに思い、そーっと境内に入ってみました。耳をすましているとまた「ずいこうー・ずいこうー」という声がします。
気味が悪くなった農家の人は、いそいで家に逃げて帰りました。そして近所の人たちに、いちぶしじゅうをはなしたところ「そいつは一体何者だべえ」と力自慢の男たちが、声の正体をたしかめにいくことになりました。
さっそく次の日の夕方、境内にひそんでいると、農家の人のいうとおり「ずいこうー・ずいこうー」となく声がケヤキの方から聞こえてきました。「はて、こりゃあ鳥の声だべえか」と、はしごをかけてケヤキに登ってみても鳥はみあたりません。
するとケヤキの根もとから、また「ずいこうー・ずいこうー」という声が聞こえてきました。そのふしぎさにみんなおどろいて、もう一度よく調べてみると、その声はケヤキの根もとがないているのだとわかりました。
これが大評判となり、お寺には毎晩のように見物人がおしかけたそうです。
「ずいこうー・ずいこうー」という声は、若いケヤキが水をすいあげる時にだす音ではないかということですが、このケヤキもだんだんおじいさんになり、今はもうなくなってしまいました。そして、現在ずいこうのケヤキは、新しい本堂の柱になっています。
宗源寺入口
宗源寺本殿
このページに関するお問い合わせは
企画財政部 広報課
狭山市入間川1丁目23番5号
電話:04-2935-3765
FAX:04-2954-6262
この情報は役に立ちましたか?
お寄せいただいた評価はサイト運営の参考といたします。