入間川地区のはずれに、田中の墓地という所があります。その墓地のずーっと奥の方には、ちょっと風変わりなお地蔵さまが立っています。
そのお地蔵さまは、通称『田中のカンカン地蔵さま』と呼ばれ、そのごりやくは近郷近在にまで鳴りひびいていたそうです。
むかしむかしのある日のこと、一人のお農家さんが、カンカン地蔵さまの所へきてこう言いました。「おらあどうも腹のあんべえが悪くて困ってます。医者さまにみせても、薬をのんでもなかなかなおらねえです。なんとかなんねえもんだべか」そして、近くにあった小石で、お地蔵さまのおなかのあたりをカンカンとたたきながら「お地蔵さま、このあたりのぐあいが悪いんです」と言って、なおもカンカンとうち続けました。
そしてしばらくするとお農家さんは「ありゃりゃ、なんだか腹がスッキリしたぞ。これはふしぎだ。きっとお地蔵さまのごりやくだべえ。ありがとうございました」とお礼を言い、持っていたお米をおそなえして、ニコニコと帰っていきました。
それをいちぶしじゅう見ていた人が、お農家さんのまねをして「お地蔵さま、おらはどうもうでが痛くて」とお地蔵さまのうでの所をカンカンとたたきました。
このことが、次から次へと知れわたり、だれもがお地蔵さまをカンカンとたたいたので、このお地蔵さまは、すっかり穴ぼこだらけになってしまいました。
また、このおまじないがよくきくものとみえて、多ぜいの人がやってきてカンカンとたたきましたので、お地蔵さまの穴は、すっかり大きくなってしまいました。そして、いつでもカンカンと音がしていたので、だれいうとなく『カンカン地蔵さま』と呼ばれるようになりました。
今でもこのお地蔵さまは、穴ぼこだらけになって立っています。
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