どんどん出てくる傘

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更新日:2021年3月29日

画:綿貫家のどんどん出てくる傘

むかしむかし、綿貫家(わたぬきけ)という、それはそれは(たい)そうな大金持(おおがねも)ちが()んでいました。
(ぞく)西(にし)鴻池(こうのいけ)(ひがし)綿貫(わたぬき)といわれるほどで、関西(かんさい)有名(ゆうめい)大金持(おおがねも)ちの鴻池家(こうのいけけ)とならんでのお大尽(だいじん)だったそうです。そして、綿貫家(わたぬきけ)江戸(えど)にたくさんのお(みせ)(くら)()っていて、綿貫家(わたぬきけ)(ひと)入間川(いるまがわ)から江戸(えど)のお(みせ)()途中(とちゅう)土地(とち)は、全部(ぜんぶ)綿貫家(わたぬきけ)土地(とち)だったそうです。
ある(なつ)()夕方(ゆうがた)綿貫家(わたぬきけ)(ちか)くのお(みや)盛大(せいだい)なおまつりが(おこな)われました。おまつりには、近郷近在(きんごうきんざい)から(おお)ぜいの人々(ひとびと)(あつ)まって、(たい)そうなにぎわいでした。
ピーヒャラテンテン、ピーヒャラテンテンいよいよおまつりが真最中(まっさいちゅう)になろうとした(とき)西(にし)(ほう)からまっ(くろ)(くも)がモックモックとわいてきて、みるまにザーッと(はげ)しい夕立(ゆうだち)になってしまいました。
(おお)ぜいの人々(ひとびと)は、われ(さき)綿貫家(わたぬきけ)(かさ)をかりにかけ()みました。「それはお(こま)りでしょう。さあどうぞお()ちください」綿貫家(わたぬきけ)(ひと)たちは、だれにも(つぎ)から(つぎ)へと(かさ)(わた)しました。
「こりゃあありがてえこんだ。おらにもかしてくだせえ。おらにも、あたしにも・・・」あとからあとから人々(ひとびと)(かさ)をかりにやってきました。しかし、綿貫家(わたぬきけ)(かさ)はどんどん()てきます。「さあさ、どうぞどうぞ。どなたさまも(かさ)をどうぞ」
あまりに(かさ)(かぎ)りなく()てくるので、一人(ひとり)旅人(たびびと)綿貫家(わたぬきけ)番頭(ばんとう)さんにたずねました。「さすがはお大尽(だいじん)だ。で、一体(いったい)何本(なんぼん)ぐれえの(かさ)があるのかね」
すると番頭(ばんとう)さんはニコニコしながら(こた)えました。「はい、まだ(かぞ)えたことはありませんが、(かさ)ならまだむこうの(くら)(みっ)つにいっぱいありますから、どうぞご心配(しんぱい)なく」
人々(ひとびと)は、いまさらながら綿貫家(わたぬきけ)のお大尽(だいじん)ぶりに、きもをつぶしたということです。

このページに関するお問い合わせは
企画財政部 広報課

狭山市入間川1丁目23番5号

電話:04-2935-3765

FAX:04-2954-6262

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