むかしむかしのお話です。柏原の中本宿にある古いお寺のそばに、あぐらをかいて、片手で耳を押さえている、ちょっと風変わりなお地蔵さまがありました。
初夏の太陽がカンカンとてりつけるあるあつーい日に、となり村に住んでいるおじいさんが、このお地蔵さまのまえを通りかかりました。このおじいさんの耳は、若いころには良く聞こえていましたが、今ではよる年なみには勝てずにすっかり聞こえなくなっていました。
おじいさんは、お地蔵さまに気づいて『おーお、お前さまも耳が悪いのかね。頭巾もかぶらねえでお天道さまにこうジリジリあぶられちゃあ大変じゃわい。かわいそーに』と言って小川から冷たい水をくんできて、お地蔵さまの頭や体を冷やしてあげました。
そんなことのあった次の朝のこと、おじいさんは『おじいさん、おじいさん』と言うおばあさんの声にびっくりして目をさましました。
不思議なことに、今朝はおじいさんの耳がすっかり聞こえるようになっていました。別に医者にみてもらってわけでもなく、薬を使ったこともなかったので、いろんなことを思い出してみると、きのうお地蔵さまにしてあげた親切を思い出しました。
『こりゃあきっとお地蔵さまのご利益だべえ。聞こえる、聞こえる。ばあさんの声が。お地蔵さまありがとうございました。』
この話が大評判となって、たくさんの耳の悪い人々が、このお地蔵さまに願かけに来るようになったということです。
今もこのお地蔵さまは、円光寺の山門の裏にちょこんとすわっています。
(狭山の絵本より)
地図
所在地
狭山市柏原1027番地
円光寺
関連項目
仏閣
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