身体が気温の上昇に慣れていない時季や、日差しが強く気温がグングン上昇する時季は、『熱中症』にかかりやすくなります。
症状が重くなると生命を落とすこともある『熱中症』ですが、予防法を知っていれば防ぐことができます。原因、予防と対処法を確認しておきましょう。
大人に比べて体の働きが未熟な子どもは、熱中症を起こしやすくなります。
若い世代に比べ、高齢になるほど暑さに対する抵抗力が弱くなります。
※参考:環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」
熱中症とは~熱中症のメカニズム~
体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体温調節が上手に働かないことで起こります。人間の体には、自然に体温調節を行う機能が備わっています。
ところが、気温が体温よりも高くなると、体表面から外気へ熱を放出できなくなり、さらに多湿になることで汗の蒸発も不十分になります。この結果、体内に熱がこもり、『熱中症』が起こります。
熱中症が起こりやすい気候・場所
- 暑くなり始めた気温上昇に慣れていない時期、気温の変動が激しい時期
- 気温が高く、湿度が高い場所
- 風が通らず、日差しが強い場所
- 照り返しが強い場所
例えば・・・
運動場・体育館・家庭の風呂場・工事現場・ビルやマンションの最上階・締め切った部屋など・・・
このような場所で長時間を過ごす場合、風の通り道を作る、涼しい休憩場所を探すなど、暑さを逃がす工夫が必要です。
熱中症を疑う症状は~熱中症の種類~
熱中症にはさまざまな症状があります。主に下記のような分類ができますが、体温が高くなる、肌が熱くなる、めまいや吐き気があるなどの場合には、すぐに対処することが必要です。
分類 | 症状 | 対応 |
---|---|---|
1度 |
「立ちくらみ」の状態で、脳への血流が瞬間的に不十分になったことを示します。
筋肉の「こむら返り」のことで、痛みを伴います。発汗による塩分(ナトリウムなど)の欠乏により起こります。
|
すぐに涼しい場所に移り、体を冷やし、水分を補給します。 |
2度 |
体がぐったりする、力が入らないなどがあり、「いつもと様子が違う」程度のごく軽い意識障害を認めることがあります。 |
病院への搬送が必要です。 |
3度 |
呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある、まっすぐに歩けない、走れない。
体に触ると熱いという感触があります。 |
病院への搬送が必要です。 |
熱中症にかかったら~熱中症対処法~
熱中症が疑われる症状が出たら、緊急事態であることをまず認識することが大切です。重症の場合は、救急車を呼ぶと同時に、その場ですぐに体を冷やし始めましょう。
≪現場での応急処置≫
- 涼しい場所へ避難します
・風通しのよい日陰や、できればクーラーが効いている室内などに避難させましょう。
- 衣服をゆるめて、冷やします
・胸もと・ウエスト周りをゆるめ、体から熱が放散されやすくします。
・肌を水で湿らせ、うちわや扇風機などで風を送り、体を冷やします。
・氷嚢(ひょうのう=氷まくら)などがあれば、それを首・わきの下・足の付け根などにあて、皮膚のすぐ下を流れている血液を冷やすことも有効です。
- 水分を補給します
・冷たい水を与えます。大量の発汗があった場合には、汗で失われた塩分も適切に補える経口保水液やスポーツドリンクなどが最適です。食塩水(1リットルに対し、1から2グラムの食塩を入れる)も有効です。
- こんな時は要注意!!
・呼びかけや刺激に対する反応がおかしい
・反応がなく、意識障害がある
・吐き気を訴える、吐く
このような場合、口から水を飲ませるのは危険です!
自力で水分をとれない時は、緊急で医療機関に受診することが、最善の対処法です。
予防しましょう~日常生活での注意点~
熱中症にならないためには、暑さを避けることなどが基本になります。
- 暑さを避けましょう
屋外では・・・
日陰を選んで歩く。
強い日差しを避けるために、日傘をさしたり帽子をかぶる。
屋内では・・・
すだれやカーテンで直射日光を防ぎ、風通しを良くする。
エアコン(クーラー)を利用する。
- 服装も工夫しましょう
汗をかく季節には、吸水性に優れた素材の下着・衣服を身につける。
太陽の下では、黒色系の衣服は避ける。(輻射熱を吸収して熱くなります)
首周りをネクタイなどで締めると、体の熱気や汗が出にくくなるので、襟元はなるべくゆるめて、通気をよくする。
- こまめに水分を補給しましょう
暑い日には、喉が渇いていなくても、こまめに水分補給をする。
アルコールや多量のカフェインを含むコーヒー・緑茶などは、尿の量を増やし体内の水分を排出してしまうので、水分補給には向きません。
- 急に暑くなる日に注意しましょう
熱中症は、例年、梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多発する傾向があります。人が暑さに慣れ、上手に発汗できるようになるためには慣れが必要です。暑くなり始め、熱帯夜の翌日など、体が暑さに慣れるまでの間は特に注意をしましょう。
- 体の調子はどうですか?
体力がない人、肥満の人、暑さに慣れていない人は熱中症を起こしやすいので注意が必要です。また、下痢や発熱、疲労など体調が悪い時や、寝不足の時は熱中症を起こしやすい状態ですので、無理をしないようにしましょう。
子どもの熱中症
大人に比べて体の働きが未熟な子どもは、熱中症を起こしやすくなります。
- 子どもの体の特徴
子どもは汗をかく能力がまだ十分に発達していません。そのため暑くなると、主に肌の表面から多く放熱をして、体温を下げようとします。
ところが、体温よりも気温が高くなると上手に放熱できなくなり、体の中に熱がこもってしまいます。子どもにとって、高温の環境は非常に危険です。
特に、炎天下の車内、締め切った室内などは風通しも悪く、温度は急激に上昇します。わずかな時間だけでも子どもだけを放置することのないように、十分気をつけましょう。
- 子どもの様子を十分に観察しましょう!
幼いうちは、『暑い』ということを上手に伝えることができません。そのぶん、周りの大人がしっかり様子を観察しましょう!顔が赤い、たくさん汗をかいているなどの場合は、体温がかなり上がっている状態です。涼しい環境に移動しましょう。
- 服装を選びましょう!
暑かったら脱ぐ!という判断(と行動)が上手にできないのが子どもです。通気性がよく、放熱しやすい服装(締め付けない、汗を吸い取る素材など)を選びましょう。
- 水をこまめに飲ませましょう!
遊びに夢中になると、休憩時間を取り損ねることも。こまめに休憩をとり、水分補給をしましょう。
- 日ごろから暑さに慣れさせましょう!
暑さに慣れるまでに時間がかかるのは、大人も子どもも同じです。適度に運動をして、暑さに強い体を作りましょう。
高齢者の熱中症
若い世代に比べ、高齢になるほど暑さに対する抵抗力が弱くなります。
- 高齢者の体の特徴
人間の体は、およそ60%が水分でできています。ところが、この水分量は歳を重ねるにつれ50%程度に少なくなってしまいます。
加えて、汗をかく機能にも衰えがみられ、発汗の始まりが遅くなる(暑さに強いから汗をかきづらいのではありません!)、出る汗の量が少ないといったことも、高齢者の特徴です。
- なにより、水分補給が重要です!
『お手洗いに行くのが面倒だから、水分はとらないようにしてるんだ。』
こんな方はいませんか?
高齢になると、のどの渇きを感じづらくなります。加えて、上のように水分摂取を制限する方も多く、ただでさえ少ない体の水分量がさらに減って、脱水状態になる可能性があります。
特に夏場は汗からも水分を失いますので、意識して、よりこまめに水分をとることが大切です!
- のどが渇いていなくても、水分補給をしましょう
特に、外出・買い物など活動した時には、約20分おきに水分補給の時間を持ちましょう。
- 寝る前にも水分補給をしましょう
寝ている間にたくさんの汗をかきます。先に補給しておきましょう。
- 枕元にも水分を置いておきましょう
夜中でも、のどが渇いた時にすぐに水分補給できる状態にしておきましょう。
クールシェアスポットを活用しましょう
狭山市では、夏の節電対策として、7月から9月までの期間において「クールシェア」を実施します。
クールシェアとは、夏の節電が一番必要な時間帯である平日の14時頃、最も多く電気を消費しているのがエアコンで、家庭の消費電力の約半分を占めています。そのため、夏の節電において最も重要なことは、エアコンを上手に使うことです。
そこで一人一台のエアコンをやめ、涼しい場所をみんなでシェアするのが「クールシェア」です。
クールシェアスポットとは、クールシェアをするのに適し、一般の方に開かれた場所のことです。
市内の公共施設の一部をクールシェアスポットに選定し、地球温暖化対策の一環として、冷房使用の抑制、市全体の節電効果の向上や熱中症対策などを図っています。効果的にご活用ください。
クールシェアについてはこちら
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健康推進部 健康づくり支援課
狭山市狭山台3丁目24番地
電話:04-2956-8050
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