毎年11月の10日には、市内のいたる所で、とうかんや(十日夜)という子どもの行事が行われていました。場所によっては、旧暦の10月の亥の日に行われたので『亥の子』ともいわれています。また、歌も場所によってちがいがあります。
とうかんやのころは、ちょうど農閑期【農業のひまな時期】にあたりますので、田の神さまにかんしゃすると同時に、ワラ束で地面を打つことによって大切な農作物を荒らすネズミやモグラなどを追いはらうことにもなりました。
9日の夜になると子どもたちは、おじいさんに、ワラをたばねた『ワラ鉄砲』をつくってもらいます。また、地面を打った時にいい音がするように、ワラ鉄砲の中に里イモの茎を入れたりもしました。
そして、ワラ鉄砲を持った子どもたちは、近所の友だちをさそいあってだんだん子どもたちの輪が大きくなっていきます。
この日は、お母さんたちが心をこめてつくってくれた『ぼたもち』九つを重箱の中に入れてかざっておきます。そして、10日の夜にみんなでこのぼたもちを食べます。
男の子も女の子も、ホッペをまっ赤にして、大きな声で「とうかんや、とうかいや、亥の子のぼたもちなまでも三ばい食いたいな」と隣から隣へと庭先をたたいてまわりました。
この日だけ子どもたちは、夜おそくまで地面をたたいてまわり、あたり一面「ドスン・バタン」という音がひびきわたっていたそうです。
(狭山の絵本より)
関連項目
歳時記
民話・伝承
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