第11回 市内出土の異形土器ー切断蓋付土器ー

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更新日:2021年2月9日

宮原遺跡出土異形土器1

市内各地に所在する遺跡を調査していると、時として非常に奇妙な遺物が発見されることがあります。上の写真の土器もその一つで、「切断蓋付土器(せつだんふたつきどき)」と呼ばれるものです。この名前は、東北地方北部の縄文時代後期の土器型式である十腰内式土器(とこしないしきどき)を構成する土器のうち、『・・・土器製作時の際に生乾きの状態で土器を切断して体部と蓋部とに二分する土器・・・』(成田1986)に由来します。関東地方では、同じ切断技法を用い、十腰内式土器とほぼ同時期の堀之内式土器(ほりのうちしきどき)の文様を描いた土器が散見され、埼玉県内では本例のほか、さいたま市(旧:与野市)神明遺跡、春日部市神明貝塚(市指定文化財・「堀之内式組合せ土器」と呼称)の3例の出土例が知られます。

この土器は、平成13年に柏原所在の宮原遺跡の発掘調査で出土したもので、縄文時代後期(約3,800年前)に位置付けられます。浅鉢(あさばち)状の体部に、内湾(ないわん)する蓋が付き、全体形は香炉(こうろ)状を呈しています。約80%が残存します。蓋と体部の上下一対の孔が6ヵ所開けられており、紐で縛って固定していた考えられます。蓋上面の文様は、小把手(しょうとって)を付けた2本平行隆帯(りゅうたい)と渦巻隆帯を交互に配し、中間に3本弧状沈線を描いています。なお、欠失していますが中央には円筒状の突起があったと思われます。
先に述べたように、この土器は謎の多い土器です。製作技法は東北地方北部の技法に似ますが、現在のところこの技術がどのようにはるか離れた関東地方に伝わったかは不明です。また、この土器がどう使われたかについても、はっきりとしたことは言えません。今後は他地域での類例を探して、出土状態や分布状況、文様の時間的変遷など多方向から検討し、検証していく必要があります。

●参考文献
細田 勝ほか 1987 『神明・矢垂』 埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書 第65集 埼玉県埋蔵文化財調査事業団
成田滋彦 1999 「異形土器 切断蓋付土器ー出土状態と器形を考えるー」 『研究紀要』第4号 青森県埋蔵文化財調査センター
石塚和則 2007 『宮原遺跡』 埼玉県狭山市遺跡調査会報告書19 埼玉県狭山市遺跡調査会
春日部市教育委員会 2018 『春日部市埋蔵文化財発掘調査報告書20 埼玉県春日部市神明貝塚総括報告書』 埼玉県春日部市教育委員会

関連項目

このページに関するお問い合わせは
生涯学習部 社会教育課

狭山市入間川1丁目23番5号

電話:04-2953-1111

FAX:04-2954-8671

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