むかしむかし、入間川の宿に、働者の若者が住んでいました。ところがこの若者には、体いっぱいにイボがあり、これが一番の悩みでした。そして、あまりにもイボが多いので、まだ嫁もとれずに一人者でした。もちろん今までにも大変な努力を重ねて、イボをなくそうとしましたが、今ではもう半分あきらめていました。
そんなある日のことでした。若者は、となりのおばあさんから、近くのお地蔵さまの話を聞き、おばあさんと一緒に出かけました。そして、『どうぞみにくいこのイボが、全部とれますように』と何度もくり返してお願いしたあげく、お地蔵さまの前にあがっていたお線香の灰をイボというイボに塗りつけました。
なんだかそうすると、イボがとれるような気がしたからです。『今日は、大変いい気分になりました』とおばあさんにお礼を言って、家に帰ってぐっすり 眠りました。あくる日の朝若者は、いつもと同じように顔を洗っていて、ハッとしました。昨日まであんなにあったイボが、今朝はもうすっかりとれていました。
おどろいて、体のあちこちをさわってみても、やっぱりイボはありません。もう天にものぼるうれしさでした。『これは、昨日のお地蔵さまのお線香のおかげに違いない』
このうわさは、近郷近在の人たちにパッと広がりました。そのために、このお地蔵さまにお参りにくる人たちは、今までにも増してあとを断たなくなりました。そして、お線香の灰を持って帰る人も増えました。
あとから、あとからやって来る人々が、みんなお線香を供えて行ったので、お地蔵さまはお線香の煙でいぶされて、すっかり黒くなってしまいました。
このお地蔵さまは、今でもうす黒くなって、入間川1丁目の慈眼寺のうら手の坂を登ったところのお堂の中に立っています。
(狭山の絵本より)
地図
伝承地
狭山市入間川1丁目9番37号付近
慈眼寺
関連項目
社寺
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