令和4年度狭山市二十歳の集い(2023年1月挙行)市長式辞

本日、ここに令和4年度「狭山市二十歳の集い」を挙行するにあたり、式辞を申し上げます。
太田博希市議会議長をはじめ、ご来賓の皆様方には公私ともご多用の中、ご臨席を賜り、厚くお礼申し上げます。
二十歳を迎えた皆さん、誠におめでとうございます。皆さんはこの3年間、新型コロナウイルスの脅威と多くの社会的な制限に負けることなく、今日を迎えました。今年から、概ね例年通りの式典を開催できることを心から嬉しく思っています。
また、今日まで愛情をこめて育ててこられましたご両親をはじめ、ご家族の皆様、そして熱心にご指導くださいました諸先生方に対しましてもお慶びを申し上げたいと存じます。
さて、これから社会を歩む皆さんに覚えておいてほしい言葉があります。それはVUCAという言葉です。耳慣れない言葉かもしれません。不安定、不確実、複雑で曖昧。それぞれの英単語の頭文字を合わせた言葉です。
コロナ禍を振り返ると、まさにこの言葉のとおりの出来事ばかりであったと思います。しかし、こうした状況は今に始まったことではなく、これまでも人類の歴史の中で繰り返されてきました。その混沌とした状況の中で新しい動きを作り、いつしか時代の潮流を生み出していくその原動力はいつの時代も皆さんのような若い力によるものでした。
パソコンを多くの人にとって身近なものへと変えていったマイクロソフトは、ビルゲイツが十八歳の時に、SNSという新たな人のつながりを生み出すこととなるフェイスブックはマーク・ザッカーバーグが二十歳の時に、そして、携帯電話を再発明することとなったiPhoneを作ったアップルはスティーブ・ジョブズが二十一歳の時に創業しました。
明治の初めから、今も残る多くの会社の原型を作った埼玉の偉人、渋沢栄一が徳川慶喜に仕えた時、おなじ幕末に、吉田松陰が死罪を覚悟で黒船に乗り込もうとしたのは同じ、二十四歳の時でした。
日本が誇る漫画やアニメの神様ともいうべき手塚治虫がデビューしたのは十七歳、尾田栄一郎がONE PIECEを連載開始したのは二十二歳、世界一の車を作り続けた本田宗一郎が独立したのは二十二歳、蝶をモチーフとしたデザインで多くの人を魅了した森英恵が新宿に初めて、スタジオを設立したのは二十五歳。
大好きなゴルフで世界を目指した狭山市出身の早川なつみさんが全米女子オープンに出場したのが二十歳。
（多くのランナーが出場を目指している箱根駅伝。さる一月三日に伝統校の期待を背負った、狭山市出身菅野雄太選手が最終十区、アンカーを託されたのは二十歳。）
そして、日本で初めて女性医師となる埼玉の偉人荻野吟子は二十歳の時に決意を固めたそうです。
今、紹介した偉人達に共通しているのはいずれも、上手くいくかどうかはわからないけれど、とにかく、若い時に決断し、行動をスタートしたことに他なりません。ただし、多くの失敗もあったでしょう。けれど、その失敗もスタートが早い分、取り戻す時間もあり、糧にできる。もし、皆さんが本当に夢をかなえたいと願うならば、誰よりも早く、決断し、スタートを切る。いつかこうできたらと願っていてばかりでは、挑戦すらできなくなる可能性が高い。だから、皆さんの最大の財産である「若い力」を皆さんのため、多くの人のために活かしてほしいと思います。
しかし、一方で自分の人生を変えてしまうような大きな決断ほど、できなくなるものです。それでは、その時はどのようにすれば良いのか。一つの答えを申し上げるならば、それは「直感に従え」ということです。
皆さんにはご家族をはじめ、多くの素晴らしい人に囲まれて、育まれました。近くに座っている同級生や学校の先生達はもちろんのこと、これから新たに出会う人も人種、国籍、性別を問わず、素晴らしい人との出会いが待っています。そして、何より、皆さんは自然と心が豊かな国、この日本に生まれ育ちました。故に、皆さんが直感的に思う真・善・美は正しいはずです。良いことがより良くなるように、そして、社会の課題が解決されるように、美しいことがより多くなるように、皆さんの直感を磨き上げてほしいと思います。
繰り返しますが、皆さんが歩む社会はVUCAな社会です。けれど、いくら不安定で不確実性が高くても、皆さんが、一歩一歩、歩み、切り開く力にはかないません。複雑さや曖昧さがいかにあろうとも、皆さんが抱く直感力こそが、これからの道筋を明るく照らしてくれるものだと信じています。皆さんこそが私たちの「希望」そのものなのです。
新成人の皆さんの限りない前途を心からお祈りし、お祝いの言葉といたします。

なお、最後に一点だけ申し上げます。新型コロナウイルス感染症の状況は決して、安心できるものではありません。また、インフルエンザも同時流行の兆しがあります。今日は座席の所に抗原検査キットの申し込みができる二次元コードを付けてあります。皆さんのみならず、家族や仲間の命と健康を守るためにも、動画を確認した上で、スマートフォンから手続きをしてください。数日後には、抗原検査キットをお届けできるよう手配をいたします。
くれぐれも、この二十歳の集いを契機に感染が拡大することがないように、慎重な行動を心からお願いいたします。

令和5年1月8日
狭山市長　小谷野剛