昔、柏原の下宿にたいそう気の強いおじいさんがすんでいました。
ある日、智光山へキノコを採りにいったそうです。
「ここのキノコは、ぜーんぶおらのものだべぇ」と、欲張って、どんどん林の奥へ入ってキノコを籠いっぱい採ったころは、すっかり陽も傾いていました。
帰りをいそぎましたが歩けども歩けども、林から抜け出せません。
疲れはてたおじいさんは林の中にへたりこんでしまいました。
やがて朝になり驚きました。
なんと、自分のうら庭をさまよい歩いていたのでした。
これは智光山すむキツネどのの仕業だったそうで、その後、おじいさんは一人歩きをしなくなったそうです。
題字・絵・文/池原昭治氏
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