注口付き壺形土器

このページの情報をツイッターでシェアします

このページの情報をフェイスブックでシェアします

このページの情報をラインでシェアします

更新日:2021年1月4日

「注口付き壺形土器」は、平成14年度に小学校建設に伴う稲荷上(いなりうえ)遺跡第6次発掘調査で出土したものです。稲荷上遺跡は、入間川右岸の狭山市下奥富地内に所在する縄文時代前期・中期及び奈良・平安時代の集落遺跡で、過去6回の調査が実施されています。縄文時代前期の集落は、住居跡が線的に分布し、中期の集落は環状(かんじょう)に展開し、新しい時期になるほど外側に位置する傾向がみられます。
この土器は、第6次調査区の中央やや北側に位置する中期後半(約4,500年前)の第56号住居跡の床面上で発見されました。器形は壺形を呈し、底部は小さめですが、安定しており、口縁部と胴部の一部及び注口部先端を欠いています。法量(ほうりょう)は、器高22.7センチメートル(注口部高さ20.7センチメートル)、口径14.3センチメートル、胴部最大径22.0センチメートル、底径7.7センチメートル、器厚0.7~1.6センチメートルで、注口土器としては比較的大形です。無文の口縁部はやや外傾し、口縁部の内側に(りょう)を有し、口唇部に撚糸(よりいと)文が施されています。口縁部直下には、断面台形の(つば)を巡らしています。胴部上半部の文様は、地文(じもん)に撚糸文を施した後に、6単位の方形区画に分割し、各区画内に縦位の平行沈線(ちんせん)文3単位、十字文1単位、地文のみ1単位、湾曲した注口1単位が配置されています。注口には全体に(ひだ)状の沈線文が施されています。これらの文様は竹管(ちくかん)半裁(はんさい)し、その内面を使用して描かれています。
この土器は、縄文時代中期後半の注口土器として、文様や地文の施文(せもん)等、当該時期の制作技法が明確であるうえに、狭山市周辺地域のみならず県内で類例がなく、非常に貴重な資料といえます。

  • 狭山市指定文化財〔有形文化財・考古資料〕
  • 指定日:令和元年(2019年)7月1日
  • 出土地:狭山市大字下奥富(稲荷上遺跡)
  • 所在地:狭山市立博物館

場所

所在地
狭山市稲荷山1丁目23番1号
狭山市立博物館

このページに関するお問い合わせは
生涯学習部 社会教育課

狭山市入間川1丁目23番5号

電話:04-2946-8594

FAX:04-2954-8671

この情報は役に立ちましたか?

お寄せいただいた評価はサイト運営の参考といたします。