柏原白鬚神社は旧柏原村の総鎮守で、祭神は猿田彦命です。同社の創建は古記録を喪失しているため不明ですが、中世までさかのぼることは確実です。それは同社所蔵の5面の御正体からもいえます。
御正体とは円鏡に仏像などを鋳出したもので、懸仏とも呼ばれています。これらは天正18年(1590)12月銘のもの2面、同19年4月銘と9月銘のもの各1面、慶長16年(1611)2月銘のもの1面で、いずれも地元の鋳物師神田氏の手により作られており、そこに刻まれた銘文と大きさを掲げると次のようになります。
奉納者 | 規格 | 銘文 | |
---|---|---|---|
(1) | 大日本国武州高麗郡柏原村住 施主 神田市右衛門 |
直径30センチメートル | 于時(ときに)天正十八年庚寅十二月廿一日 大工(だいこう)神田宮内 |
(2) | 大日本国武州高麗郡柏原之村住 吉田太郎左衛門 |
直径29センチメートル | 于時天正十八年庚寅十二月吉日 大工神田宮内 |
(3) | 奉納武州高麗郡柏原村之住 神田半十郎 |
直径20センチメートル | 于時天正十九年辛卯四月吉日 施主敬白 |
(4) | 武州高麗郡柏原 施主 神田図書助(ずしょすけ) |
直径31センチメートル | 天正十九年辛卯九月吉日 同大九 |
(5) | 奉納武州高麗郡柏原之村 斎藤二郎兵衛寄進也 |
直径23センチメートル | 慶長十六年辛亥二月十五日 敬白 |
これらの尊像はいずれも十一面観世音菩薩の坐像で、胸前で合掌する姿に作られています。十一面観世音菩薩は、10ないし11の尊顔と阿弥陀如来の化仏を頭上に戴く仏ですが、(2)と(4)は細かな部分まできちんと作られており、技術の優秀さをうかがい知ることができます。
- 狭山市指定文化財〔有形文化財・工芸品〕
- 指定日:昭和61年(1986)11月1日
場所
所在地
狭山市柏原1153番地
柏原白鬚神社
関連項目
境内社
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狭山市入間川1丁目23番5号
電話:04-2946-8594
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