上奥富にある瑞光寺は、真言宗智山派の寺院で、本尊は大日如来坐像です。寺伝によると、同寺は大同2年(807)の創建といわれ、古くは国道16号線の南側にある字新堀にありましたが、たびたびの戦禍によって寺が焼失したため、現在地に移ったといわれています。
大日如来には「智」を表す金剛界大日と、「理」を表す胎蔵界大日がありますが、金剛界は左手人差し指を右手で握る智拳印を結び、胎蔵界は両手の掌を重ねて親指の先をつける法界定印を結んでいます。この寺の本尊は智拳印を結ぶ金剛界大日で、頭に載せた宝冠からは冠纓と呼ばれる飾り紐が腰まで垂れ、尊顔は智を表すのにふさわしい顔立ちをしています。
瑞光寺の紙本着色両界曼荼羅は、金剛界と胎蔵界の曼荼羅を和紙に彩色で描いたものです。大きさはいずれも縦90.5センチメートル、横81センチメートルで、室町時代の作と推定されています。
曼荼羅とは、仏教の宇宙観を諸仏によって整然と描いた図像画で、金剛界曼荼羅は、全体を成身会・一印会・供養会など9つに区画し、中央の成身会に主尊の大日如来を置き、その周囲に阿閃・宝生・無量寿・不空成就の金剛界四仏を配したもので、全部で412体の仏像が描かれています。
これに対し胎蔵界曼荼羅は、全体を中台八葉院・遍知院・持明院など12に区画し、中央の中台八葉院に大日如来を据え、八葉部分に無量寿・天鼓雷音・宝幢・開敷華王の四如来と、観音・弥勒・普賢・文殊の四菩薩を配したもので、381体の仏像が描かれています。
- 狭山市指定文化財〔有形文化財・絵画〕
- 指定日:昭和61年(1986)11月1日
場所
所在地
狭山市大字上奥富354番地
瑞光寺
関連項目
社寺
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